歌川広重が制作した名所絵のシリーズ「名所江戸百景(めいしょえどひゃっけい)」。
四季折々の江戸の様子が描かれた歌川広重の代表作と言われています。119枚の図絵から構成されており、江戸の様々な場所が描かれます。
そんな名所江戸百景ですが、現在はどのような姿になっているのか!?名所江戸百景が描かれた150年後の現在を訪問してみたいと思います。
東西線沿線の名所江戸百景として、今回は日本橋江戸ばしを訪問しました。
現在は東西線日本橋駅にある「日本橋」
日本橋江戸ばしの現在の姿は、東西線日本橋駅にある「日本橋」になります。
日本橋の駅C1出口から少し歩くと日本橋が見えてきます・・・

まずは、歌川広重が描いた「日本橋江戸ばし」。橋の北側には江戸の台所の魚河岸(うおがし)があり、仕入れの魚を船で運んでいる姿が描かれています。
そして現在は・・・

現在の橋は石造二連アーチ橋。何と19代目で1999年に国の重要文化財に指定されています。橋の長さは49m、幅は27m。

目を引くのが日本橋中央柱の麒麟(きりん)。伝説には無い翼があり飛躍する首都を表しています。
麒麟像の迫力に圧倒されしばらく見上げたまま時間が流れます。この麒麟像を見ていると、東野圭吾氏の小説で映画化もされた「麒麟の翼」を思い出します。
日本橋は東京都中央区の日本橋川に架かる国道の橋。道路元標があることから、日本の道路網の始まりの地点となっています。映画の中でも、出発の地である日本橋から生活をスタートさせるシーンが描かれていました。

こちらは、日本橋親柱の獅子。何とも勇ましい姿。麒麟と獅子の像が日本橋を引き立てています。
日本橋は一つの作品であり何とも美しい。歌川広重が描いた美しい日本橋は今でも健在です。
日本橋江戸ばしと変わらず現在も美しいが・・・

そしてもう一枚が「日本橋雪晴(にほんばしゆきばれ)」。
橋には大名行列の一行が往き来しており、両岸には問屋や倉庫が立ち並び、活気が溢れています。更に遠くには富士山が。このアングルから現在を見てみると・・・

残念ながら首都高速道路に覆われてしまっています。当然ながら富士山を望むことはできません。日本橋雪晴の様子とは大きく変わってしまいましたね。
高速道路を地下に移して、日本橋の景観を取り戻そうとの議論は出るものの予算の問題などで実現するのは難しそう。

周りを見渡すと、周辺は銀行や証券会社が立ち並ぶ金融街。更に、三越・高島屋などの百貨店やコレド日本橋・コレド室町などの商業ビルが多くあります。日本橋は江戸時代に商人が軒を連ね発展してきた街で、現在でも日本の金融の中枢であり商業の街。この点は今も変わりません。
最後に
さてそんな訳で、150年後の現在を訪問してみると、橋の上に高速道路が走っている結果に。この姿を歌川広重が見たら泣いているかもしれません。
ただ、日本橋の美しさは現在も健在です。日本橋の上に青空が広がる日が来る時を願って、他の場所も周ってみることにします。
【日本橋の住所】 東京都中央区日本橋室町1丁目